「F5アタック」というサイバー攻撃を聞いたのですがどんな攻撃でしょうか?
「F5アタック」とは攻撃者がWebサイトにアクセスし、キーボードの「F5」キーを繰り返し押して再読み込みさせることで負荷をかけ、サーバーをダウンさせるサイバー攻撃です。
F5アタックは「DoS攻撃」の一種であり、攻撃者は連続して「F5」キーを押すだけでDoS攻撃を仕掛けられるのです。
誰でも簡単にできるF5アタックは、Webサイトを停止させるほど大きな被害をもたらします。
実際に日本最大級のインターネット掲示板サイト「2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)」では、深刻な被害が生じています。
あなたの会社のWebサイトが、いたずら目的で「F5」キーを何度も押されたらどうなるでしょうか?
攻撃者は簡単にあなたの会社のサイトをダウンさせることができるのです。
ここではF5アタックの攻撃内容や仕組み・手口を解説し、最後に対策法やツールなどをご紹介します。
目次[開く]
F5アタックとは?仕組みや手口を解説
「F5アタック」とは「F5」キーを繰り返し押して再読み込みさせることで負荷をかけ、Webサイトをダウンさせる攻撃です。
WindowsのPCはキーボードの「F5」キーを押すと、Webサイトを再読み込み(リロード)できます。
Webサイトのページが更新されても、履歴が古いと新しいページが反映されません。
自分の見ているページが古い状態の場合、「F5」キーを押すことで新しいページに切り替えられます。
F5アタックはこうした「F5」キーの性質を悪用したものです。
次は誰でも簡単にできるF5アタックの手口とはどのようなものなのか、見ていきましょう。
F5アタックの手口
Windowsの PCで「F5」キーを押すと、Webサイトに再読み込みのリクエストが送られます。
リクエストが5千回・1万回となるとその数だけ再読み込みのリクエストが送られ、負荷に耐えられなくなりダウンするのです。
「いたずらしてやろう」と、軽い気持ちでF5アタックをする人もいます。
誰でも簡単にできるF5アタックですが、被害が大きいので厄介です。
あなたの会社が、F5アタックによるDoS攻撃やDDoS攻撃の被害に遭うこともあり得ます。
想定される被害の内容を知り、早めに対策することが重要です。
F5アタックで想定される被害とは?
ここではF5アタックで攻撃されるとどんな被害に遭うのか見ていきましょう。
システムやサーバーのダウン
攻撃者が「F5」キーを何度も押すことで、サーバーはページの再読み込みを繰り返します。
すると負荷が増え続けてサーバーがダウンし、Webサイトは表示されなくなり、アクセスしていた他の顧客がサービスを利用できなくなります。
サービス停止による利益損失
F5アタックによってWebサイトがダウンすると、サービス停止に追い込まれます。
サービスが停止している間は利益を得られません。
Webサイトの復旧には莫大な費用が発生するため被害が大きくなります。
サービスの信用低下
F5アタックでサービス停止してしまうと、利用者の信頼を失います。
ページの表示に時間がかかると、利用者はそのサイトから離れてしまうでしょう。
インターネット上には同様のサービスが数多くあるため、利用者は重いサイトから離脱します。
最悪の場合は怒りを買い、二度とそのサイトには戻ってこないでしょう。
F5アタックから身を守るためにはどのような被害が起きているのか知り、早急に対策をしなくてはなりません。
ここからはF5アタックの被害事例をご紹介します。
F5アタックの被害事例
F5アタックによって海外から攻撃されたり、有名企業が狙われるなど被害が多発しています。
「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」の利益損失の被害は、F5アタック攻撃の脅威がよくわかる事例です。
テレワークが増えたこともあり、企業だけでなく自宅のPCを狙うケースも増加。
「自分には関係ない」とは思わず、これからご紹介する最新の攻撃事例を知り、対策を考えておく必要があります。
2010年:韓国人による2ちゃんねるへのサイバーテロ事件
2010年韓国人のユーザーにより、F5アタックと攻撃用プログラムを合わせた「2ちゃんねる」へのサイバー攻撃が発生。
攻撃は数万~数十万回の規模で行われました。
この攻撃によって「2ちゃんねる」のサーバーがダウンし、保存されたデータが読めなくなる被害が起きています。
「2ちゃんねる」のサーバー管理を担当する米国PIE社のサーバーにも被害が及び、米政府重要機関のサーバーでも被害が発生しました。
「2ちゃんねる」の被害額は日本円で約2億2千万円にも上り、日本だけでなく米国にまで被害が及んだ、F5アタックの怖さを物語る事例です。
2016年:ヨドバシカメラら「DDoS攻撃」被害が多発
日本の大手企業複数が「DDoS攻撃」の被害に遭った事例です。
複数のPCから攻撃相手のPCや通信機器に大量の不正なデータを送りつけ、相手のPCをダウンさせること。「DDoS攻撃」は複数のPCから、「DoS攻撃」は1台のPCから攻撃する。F5アタックは「DoS攻撃」の一種。
詳しくはこちら『【DoS攻撃・DDoS攻撃】とは?その攻撃内容と効果的な対策法』
2016年「ヨドバシカメラ」「技術評論社」「さくらインターネット」「はてな」「ニコニコ大百科」など、20以上のWebサイトが「DDoS攻撃」を受け、Webサイトにつながりにくくなる症状が発生。
犯人は掲示板に犯行を予告し、被害に遭った企業側はある程度の情報は得られていたものの、犯人の特定には至っていません。
企業側はIPアドレス変更などの対策を行いましたが、すぐに攻撃が再開され再び被害に遭っています。
「DDoS攻撃」は攻撃者が一見正常な通信をしているように操作できるため、技術的な事前対策が難しいサイバー攻撃です。
アクセスが集中してWebサイトが重くなったのか、攻撃されて重くなったのか、判断が難しいのです。
ただしセキュリティ技術の向上により、通常のDDoS攻撃ならば「少し負荷が多い」程度でやり過ごすこともできるようになりました。
大手企業でもこのような被害に遭っているので、対策しなければ攻撃者に狙われるでしょう。
Webサイトがダウンすると信頼を失い、利益損失につながります。
最悪の場合は企業倒産も起こり得るでしょう。
そうした事態を避けるため、早急にF5アタックの対策をしなければなりません。
F5アタックの対策法
F5アタックの怖さは被害に遭うとWebサイトがダウンするため、顧客が逃げる可能性があることです。
「ヨドバシカメラ」の事例を見てもわかるように、対策していれば企業はたとえ攻撃を受けても少ない被害で済みます。
被害を最小限に食い止めるためにも、しっかりとした対策が必要です。
ここからはF5アタックの対策法をいくつかご紹介しましょう。
①同一IPからの連続アクセスを遮断
F5アタック対策の一つとして、同じIPアドレスからの継続的な再読み込みを遮断する方法があります。
連続して再読み込みをする特定のIPアドレスを、ブラックリストに載せるのも効果的です。
再読み込みは悪意なくやっているのか、攻撃目的でやっているのか、区別が難しい時もあるでしょう。
人気のあるWebサイトなどはアクセスが集中しサーバーにつながりにくくなるため、悪意がなくてもユーザーが再読み込みする場合があります。
このような場合もF5アタックとみなしサービス停止をすると、利益損失につながる恐れがあるため注意が必要です。
②ネットワークの監視や検知
監視システムによって、アクセスが集中しているページやIPアドレスの観察をします。
ネットワークの監視や検知を行うことで、F5アタックによるサーバーの負荷の増加を見つけやすくなります。
異常な動きがあった時、アラートが出る仕組みにしておくと効果的です。
アクセスの集中が通常のユーザーと攻撃者どちらによるものなのか判断し、F5アタックに備えた対策を素早くできるようにしておくことも大切です。
③WAFによるDDoS対策
「WAF」とは「Web Application Firewall」の略で、Webアプリケーションを守るためのセキュリティシステムです。
「WAF」の導入によって、F5アタックの攻撃からWebサイトを守ります。
近頃ではインターネットを活用する企業が増加していますが、適切なセキュリティ対策をしている企業は少なく、F5アタックを含めたDDoS攻撃から狙われやすい環境となっています。
「WAF」の導入はDDoS攻撃によるサイト停止やサービス妨害から、身を守るために大きな助けとなるでしょう。
④オールインワンで安心!「Cyber Box Pro」
F5アタックには脆弱性をあぶり出し、マルウェアを検知してくれる多機能なセキュリティ製品が有効でしょう。
F5アタック対策に「Cyber Box Pro」を採用するのもおすすめです。
F5アタックを含むDDoS攻撃によりネットワークトラフィックが異常に増大する可能性があります。
Cyber Box Proはそのような異常なデータ量を検知しWEBサイトがダウンすることから防御します。
Cyber Box Proは「バックアップ」「ログ管理」「セキュリティ」が一つになった、オールインワンのセキュリティ商品です。
個々にそろえるより便利で、コストも大幅に抑えられます。
・ネットワーク通信を検査
・ダウンロード処理の不整合をチェック
・ウイルスが侵入しそうなところを検査
・メモリー上で不審なプログラムコードをあぶりだす
・マルウェアの中心的なサーバーとの通信状態を明らかにする
・詳細な分析の実行と悪意のある振る舞いの特性を識別
・マルウェアが実行しそうな挙動がないかチェック
・プログラムを実行させ異常な挙動がないかチェック
・膨大に増殖する亜種を検知
万全な対策をすることで、F5アタックの被害を最小限に抑えられます。
まとめ
F5アタックについて学んだので、対策をしないと「2ちゃんねる」のように甚大な被害に遭うことがよく分かりました。
おっしゃる通りです。F5アタックは誰でも簡単にでき防御が難しいのですが、セキュリティ対策をしっかりやることで被害を最小限に抑えられます。
F5アタックをする人はいたずら気分でやっていることもあるのですが、これは犯罪行為なのです。
攻撃を受ける前にネットワークの監視によりセキュリティ対策をしっかりすることで、悪意のあるユーザーなのか大事なユーザーなのかを判断するのは大切です。
対策をすること自体が大事なユーザーを守ることにつながります。
「ヨドバシカメラ」の例を見ても分かるように、少しでもセキュリティ対策をしておけば被害は最小限にとどめられます。
「2ちゃんねる」のように被害に遭ってから動くのでは利益損失となり、運が悪ければ倒産もありえます。
あなたの会社は大丈夫でしょうか?
セキュリティホールがある場合は攻撃者に狙われます。
F5アタックを受ける前に万全の対策を行い、被害を最小限に食い止めましょう。